『「これからの世界」で働く君たちへ 伝説の元アップル・ジャパン社長の40講義』山元賢治

元アップルジャパン社長の著書。「グローバルに働くとはどういう事か」について、本質的かつ具体的に書かれている。

小手先の方法論ではなく、思考方法・決断の仕方・人との関わり方・生き方など、実行するには自分で考え悩み、実行してみないとわからない事ばかり。

グローバル企業の厳しさやプロ意識の高さなどが痛いほど伝わってくる内容であるが、最後には「体力・笑顔」で締めくくられており、人間力の重要性を示唆している。

良くも悪くも日本は転換期。安定にしがみついた働き方を見直し、本質を追求したビジネス、生き方・働き方ができるかが鍵となる。

以下抜粋(★はGo Globalスタッフのコメント/数字はページ数)
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  • 変化を生み出すのはいつだって「猛烈な好奇心」だ。23
    (★ふつうの「好奇心」とは違う。)
  • 自分が全身全霊で情熱を注げること、心から向き合え、「もっと良くするにはどうすればいいのか?」という問いを持てることが、すべての変化のエンジンです。
    好奇心がビジョンを生み、世界を変えていくのです。29
  • ビジョナリーというのは別に預言者という意味ではなく、好奇心の先に生まれる「問い」を持てる人のことです。30
  • 「新しい課題」を自ら作り出せることが才能である。31
    (★日常の、「ふとした疑問」を大切にしたい。メモにして書きためておいてもよいぐらい。)
  • 日本の教育は、学校の先生のいうことが「正解」と教えます。
    アメリカでは先生はファシリテーターに近い。33
    (★ファシリテーターの求められるスキルとはなんだろう?   ファシリテーターの意味 By ファシリテーター協会HP
  • 黒板を写すだけの教育で、この変化する世の中で生きていける子供を育てられるのだろうか。
    子供の成長を妨げる教育であってはならない 38
  • 今おかれている環境や状況が自分にとって心地よく感じたら、その環境や状況を変えるべきです。心地いいというのは、変化がないということだからです。39
  • 他人が起こした変化は自分ではコントロールできません。
    変化に巻き込まれないための唯一の対策は、その変化を「作り出す側」に回ること。
    変化を作り出す人が、次のビジネスの中心を握るのです。41
  • もう少しで「好きな国ランキング」の首位からも滑り落ちようとしています。
    ただ、そうした変化を多くの日本企業や日本人は気付いていません。
    ~中略~「日本を代表する」というrepresentative(当事者意識)のなさが大きな要因です。45
  • 名刺に「マネジャー」と書いているのなら、その場で意思決定をしないといけない。47
    (★日本人は意思決定が遅い、質問があってもその場で聞かない。これだけでも他国との差がぐっと開いてしまっている)
  • 気に食わないところがあるのなら、自ら変えていくべきです。49
    (★気に食わないところはどこか?自分の問題意識はあるか?愚痴を言うのは簡単。どうすれば自分がよく出来るかを考えたい)
  • 海外の人たちと真に分かり合うには、何より自分の考えを相手に伝え理解してもらおうという本気度が求められます。英語がどれだけ堪能でも、この覚悟がなければ通じ合えません。59
  • スティーブ(ジョブス)のプレゼンから凡人でも学べるものがあるとするなら、聴衆との「一体感」を作り出すことでしょう。そして一体感を生み出すには、こちらが「本気であること」を伝えることです。
    (★自分が「本気」になれることは何か?)
  • マネジャーになると仕事の内容や責任範囲の何が変わるのか。
    ~中略~ たった一つだけだ。make decisionだけだ。マネジャーが意思決定できないと、後ろで待っているすべての部下が待ち状態になる。会社としての大損失だ。75
  • 正確にスピーディーに瞬断するにはどうすればいいのでしょうか。
    ~中略~ 圧倒的に情報を持っているということ。それも「世界の情報」を持っているということ。
    (★普段から「世界の情報」を手にするにはどうすればいいか?)
  • いかに素早く正確に判断するか、そのためには、今から世界の情報を集めておくことをお勧めします。世界の情報を知らない日本人が多い中、瞬断できる大きな武器になるはずです。78
  • 外国人相手の交渉では、こちらがどれほどの自己や自我をもって向き合っているかというのが、交渉を大きく左右することを知っておいてください。84
  • 主語と動詞を意識すれば、自分はどうしたいのか、自分の意思とは何かということを曖昧のままでは語れなくなってきている。88
    (★「私は〜」と、一人称で語ることが大事。)
  • どれだけもっともなことを話していても、(英語の)話し方がたどたどしい人のことは簡単には信用できないでしょう。そういう人をビジネスパートナーとして選ぶでしょうか。ゆっくり話されている時点で、もはや対等ではないのです。中国人や韓国人は、もっと真剣に「話す」ことを意識して勉強しています。94-95
  • 教育者にはビジネス経験のある人がつくというのも重要だと思います。98
  • 決めたことは死んでもやりとおす。100
  • チームリーダーは実績と自信だけでなく、コミットメントへの本気度が最重要事項となるでしょう。本気さはあらゆるコミュニケーションのテクニックを超えています。103
  • もうHOWだけでは何も変わらないということに気付くべきなのです。自分の頭で考えて、WHYの問いを立てられない限り、何も前進していないのですから。109
  • すべての原点には嘘偽りのない好奇心がなければ戦えないのです。115
  • 長期的に見れば、自分を進化させるためには、他者からいかに有意義な考え方を学ぶかということが極めて大きなスキルとなるのです。120
  • 人の成長を大きく後押ししているのは、自分より優れていると思う人から、有意義なことをいかに引出、それを自分の中でストックできるか、そうした「引きだし」の有無が大きく関係しています。127
  • どんなプロジェクトでもさまざまな抵抗勢力がいるでしょう。そういうときに八方美人の人は必ず頓挫します。成し遂げられる人というのは、単に数が多いというだけではなく、強く真に協力的な実行力部隊のいる人なのです。133
  • 動いてみて、話を聞いてみて、行動に移す。
    それを続けていれば、必ず世界は変わります。自分の情熱のありかがわかってくるのです。
    この世でもっとも強力な武器は「パッション」です。136
    (★今自分がやろうとしていること。自分の情熱の在りかをみつけること)
  • 自分の中の達成感を常に確かめる。
    もっとも大切なことは、自分で自分の目指すべき方向性を自覚しているということ 137
    (★自分は何をもって「成功した」と実感できるのか?)
  • 限られた時間を有効に使うためには、犠牲にする覚悟がなにより必要。143
    (★自分が犠牲にするものはなにか?)
  • 自分がやりたいことや、心から幸せだと感じることを信じて行動することだけが、最終的に未来を創る。153
  • 貢献とは「社会を作ること」。日本だけでなく、アジアや世界も視野に入れて、地球規模で社会をよくしよう。191
    (★これこそが「グローバル」の定義では!?)
  • ビジネスも今こそ、もうかればいいという発想から、「社会をつくる」意識へと大きく転換するべき 191
  • アメリカではダイバーシティの重要性について、数十年にわたって言われてきました。違いを標準化するのではなく尊重し、様々な違いを生かしてチームを動かそうとすることが、結果的には最高のパフォーマンスを発揮できると考えられている。202
    (★たとえば真面目な日本人と、大胆なオーストラリア人は得意な事が違う)
  • ダイバーシティによって、それぞれの文化や教育に裏付けられた発想や習慣、仕事のやり方などから多くの学びがあります。205
  • 愛されるというのは、実は仕事ができる人の世界共通の要素なのです。218